Chapter8 「今夜は眠らせないぜパトラッシュ」
私はよく欠伸をする人である。
別に眠くもないのに出る。
生理現象なので仕方ない。
思えば美術館に行った時も欠伸をしていて「興味なかった?」と聞かれたことがあった。
そんなことはない。「生理だから」と言ってごまかす。
私は好奇心の権化と言われる男。
「地球の酸素濃度が私に追いついていないのだ」と常々思っている。
動物は緊張の度合いが過ぎると緊張をほぐすために、逆に、欠伸をするのだと聞いたことがある。
私もきっとそうだ。
でもこの時間に出る欠伸はきっと眠いからだ。
パトラッシュ、僕もう眠いよ。
と家のすぐ近くに住んでいる犬に寄り添おうとするが問題なのはこの犬が下痢をしていることである。
「下痢以下の匂いがプンプンするぜぇ!」と思いながらこの犬に寄り添うことをやめた。
あとこの犬は頭も悪い。とてもパトラッシュとは似ても似つかない。こいつ絶対人の心を理解してない。
完全にキャストミスだ。
パトラッシュのような人生のパートナーになるような犬が欲しい。
今夜も私の夜は長い。