Chapter13 「貴族の誇り」
新年早々私の友人が相手方のご両親にご挨拶に行くとか言い出した。
気軽に飯に誘ったらこれである。
最近は独身貴族から没落する者が殊に多い。
この勢いは革命と言っても良い。
私だけは高潔で居続けようと心に誓い私は初詣に向かった。
1時間後私は社の前にいた。
この神社、ちゃんとした神社であるにも関わらず、ジャラジャラ鳴らす鈴のようなところがハートの形をしている。しかもピンクだ。
心臓病を治すためのご利益があるのかもしれないし、心を震わせ、胸を熱くする少年ジャンプのようなご利益があるのかもしれない。
俺の参拝する神社がそんなに煩悩にまみれているわけがない。
手元の縄を振るとハートがポーンと気の抜けた音を出した。
去年もこのハートはポーンという音を出していた。
しかしたいしてご利益というかアタックチャンスが訪れなかったことを考えるとやはり神などいないのかもしれない。
だが、今年こそはと願う私の後ろ姿は世界のあまねく神々に平等の愛をもって接する世界で誰よりもプレイヤーだった。
お賽銭も去年の倍プッシュにした。
是非、一番いい黒髪のショートカットを頼む。
大丈夫、これで、問題ない。
万難は排した。今年はきっといい年になる。