Chapter12 「それもまた生理現象」
密室に複数人数で閉じ込められた時、一番困ることは何か。
そうそれは排泄だ。
私は電車の窓から外を見ながらそう思っていた。
どう考えてもこの状況はは詰んでる。
高校の時、電車の中で我慢しすぎたせいで気を失ったことがあった。
視界が周りから急に白くワイプアウトしていくような気の失い方だった。
肛門に魔力を集中しすぎたか。
電車の中で脈を取られながら目覚めた私はそう思った。
後から病院に行くと多分食中毒っぽいとか言っていた。
その日はから揚げしか食べてないし、きっと学校の食堂のおばちゃんが調理場の床に落としたから揚げを「おっとっと、3秒ルール3秒ルール、フフッ」とか言ってそれを私が食べたのだろう。と思った。
そんなことはどうでもいい。
どうだっていいんだよ!
私は電車の外を眺めていた。
その日はお日柄も良く・・・そんなことはどうだっていいんだよ!
一秒でも早く、この、空間から抜け出したい!世界で一番トイレ行きたい!
私は祈るように電車の外を見た。この街の景色の中には一体いくつのトイレがあるんだろう。そしてこれだけトイレがありながら何故私は困っているんだろう。世の中は間違っている。
しばらくして電車は止まった。
駅だ。助かった。もう何も怖くない。
私は駅のトイレに駆け込んだ。
全部使用中だった。
もう・・・漏らすしか・・・ないのか・・・?
戦争から帰ってきたら結婚しよう、と言った彼女が戦争から帰ってきたら別の男と結婚してましたよ。みたいな。「女の子は一度冷めちゃうともうどうにもならないの」とか言っちゃう。クラスの絶望。
チクショウ・・・。だが・・・。だが!
それならまた別の結婚相手を探せばいいのだ!
まだだ、まだ終わらんよ。
私は改札を出た。
まだ乗り継ぎがあった。
しかしこの際初乗り料金が取られることなどどうでもよかった。
180円でトイレが買えるなら、わたしはそんなことどうでもよかったんだ。
今僕は行くのさ、改札の向こう側へ。僕の虹へ。飛び立つのさ。
私がその日約束の時間の電車に乗れなかったのは、そういう理由だったんだ。