Chapter20 「それは問題だ」
例えばここに箱があり、後藤を入れておくとする。
そしてその箱は1時間以内に50%の確率で後藤を死に至らしめるサムシングが仕掛けられているとする。
1時間後箱を開けてみると箱の中には50%の確率で生きている喜びを噛みしめているハッピーな後藤がおり、50%の確率でこの世のしがらみから解放されてハッピーな後藤がいる。
つまり後藤が生きているか死んでいるかの確率は50%であり、それは箱を開けてみるまで分からない。
つまり1時間後の未確認の箱の中の後藤の状態は生きている事象と死んでいる事象が1:1で混在していることになる。
つまり箱の中は半分生きており、半分死んでいるという矛盾する二つの事象が重なり合っているパラレルワールド的なディズニーランドになっているのだ。
だがしかし、後藤がハッピーである確率は100%である。
この実験で大切なのはどちらの結果にしてもハッピーならば後藤の生死それ自体はさしたる問題ではないのではないかと、そういうことである。よく覚えておくように。